もっとも基本的にして、意外と奥が深いコピペ。
コピー&ペーストの解説記事です。
エクセルでのコピペは、値・書式などをコピーするかしないか、つねに意識する必要があります。
豊富なコピーオプションを使えば、データをもっとも適切な形でコピペすることができ、
キーボードだけ・マウスだけで可能なコピペ方法もあります。
エクセルの操作全体を、格段に効率化する可能性のある「コピペ」を深掘りしてみました。
基本動作
リボンからの操作を例にして、まずはコピペの基本動作について解説です。
「ホーム」タブ→「クリップボード」→「コピー」
「ホーム」タブ→「クリップボード」→「貼り付け」
コピーモード
あるセルをコピーすると、コピー元が緑色の点線で囲われます。
これはコピーしたデータがクリップボードと呼ばれるメモリーに保管されていることを示します。
この状態から、同じデータを何度でも別の場所にペーストすることが可能です。
これがコピーモードです。
コピーモードを解除するには Esc キーを押します。
オプションメニュー
エクセルのセルはさまざまな情報を持っています。
ペースト時に、これらの情報を選択できるのが「貼り付けオプション」です。
ペースト後、「貼り付けのオプション」アイコンが表示されます。
アイコンをクリック、もしくはCtrlキーを押せばオプションメニューが展開されます。
種類 | 説明 |
貼り付け(P) | 値・数式・書式などすべてコピー |
数式(F) | 値・数式をコピー 書式はコピーされない |
数式と数値の書式(O) | 値・数式に加え、数値の書式 (カンマ・通貨記号など) をコピー |
元の書式を保持(K) | 値・数式・書式などすべてコピー |
罫線なし(B) | 値・数式・罫線以外の書式をコピー |
元の列幅を保持(W) | 値・数式・書式に加え、元の列幅を保持。表のコピーなどに便利 |
行/列の入れ替え(T) | 値・数式・書式を、行と列を入れ替えてコピー |
値(V) | 値のみコピー (数式・書式はコピーしない) |
値と数値の書式(A) | 値に加え、数値の書式 (カンマ・通貨記号など) をコピー |
値と元の書式(E) | 値・書式をコピー (数式はコピーされない) |
書式設定(R) | 書式のみコピー (値・数式・入力規則はコピーしない) |
リンク貼り付け(N) | コピー元のセル参照が入力される (コピー元と連動して変化) |
図(U) | セルを画像としてペースト |
リンクされた図(I) | リンクされた画像としてペースト |
細かく見ると、かなり複雑ですね。
まずは、
値のみ (計算結果のみ) のコピーなのか
書式 (フォント・罫線・表示形式など) までコピーするのか
を意識しましょう。
「値のみ」なら「値(V)」
「値も書式も」なら「貼り付け(P)」
「書式だけ」なら「書式設定(R)」
の3つだけで、たいていの場合に対処できます。
複数セルのコピー
複数のセル(セル範囲)を一括でコピペすることもできます。
ペーストする時に同じ大きさの範囲を選択する必要はありません。ひとつのセルを選択すれば、そのセルを左上とする同じ大きさのセル範囲にペーストされます。
さまざまなコピペ方法
さまざまなコピペ方法を以下に挙げて検証しましょう。
方法によって、コピーモードが無かったり、オプションメニューが変わったりします。
リボンからの操作
最初に紹介した、「ホーム」タブから操作するやり方です。
正直、この方法はオススメしません。
リボンまでマウスカーソルを移動させるのにロスがあるからです。
エクセルで長時間作業するほど、「リボンが遠い」という感覚を実感してきます。
マウスの右クリックメニュー
同じマウスを使うなら、マウス右クリックのメニューから「コピー」や「貼り付け」を選択する方法が効率的です。
コピー元・コピー先のセル上で右クリックするので、セルの選択とコピペを同時に操作できます。
また「形式を選択して貼り付け」や「コピーしたセルの挿入」の選択も可能です。
形式を選択して貼り付け
「形式を選択して貼り付け」では、通常の貼り付けオプションにはないペースト方法が選択できます。
「コメントとメモ」「入力規則」のコピーは通常のオプションにはありません。
また「演算」しながらのペーストもできます。「コピー元の数値をコピー先に加算しながらペースト」などの処理ができます。
左下の「連結貼り付け」は通常のオプションの「リンク貼り付け」と同じものです。
コピーしたセルの挿入
他のセルに割り込んでのペースト方法です。
他のセルを右や下に移動させながらペーストします。
どうしてもマウスだけで操作したい場合、ありますよね。
- 左手に資料などを持っての作業
- キーボードの不調
- キーボード操作(ブラインドタッチ)に慣れていない
そんなときは、この右クリックからのメニューが有効です。
ショートカットキー
Ctrl + C コピー
Ctrl + V ペースト
ショートカットキーと言えばまずこれ、というぐらいメジャーなショートカットキーです。
「形式を選択して貼り付け」にも、ショートカットキーがあります。
Ctrl + Alt + V 形式を選択して貼り付け
コピペ動作自体は、リボンやマウス右クリックメニューと同じです。
どうせならオプションもショートカットで操作しましょう。
ペースト後、Ctrl キーでオプションのメニューが展開されます。アルファベット一文字でメニュー選択です。
(例) 値の貼り付け
Ctrl + C コピー → Ctrl + V ペースト → Ctrl オプションメニュー展開 → V 値
Ctrl + V は同時押し。→ Ctrl → V は順番押し。
セル選択にも矢印キーなどを使えば、キーボードのみによるコピペができます。
Enterキーでペースト
意外と知られていないのが、Enter キーのみでペーストできることです。
ただしオプションは選択できません。単純なセルのコピーになります。
またコピーモードはペーストと同時に解除されます。
「書式は同じでいい、一度だけコピペ」という場合はEsc キーを押す必要がない分、効率がいいです。
マウスドラッグでのコピー
マウスドラッグでセルのコピーができます。
選択したセルの外枠部分にカーソルを当てると、上下左右の矢印になります。
この状態でマウスをドラッグするとセルの移動です。
この動作を利用してコピーができます。
Ctrlキーを押しながらドラッグ
Ctrl キーを押しながらセル移動するとセルのコピーができます。
ただし単純コピーのみでオプションは選択できません。またコピーモードもありません。
この方法はシートのコピーにも応用できます。
Ctrl キーを押しながらシート見出しを移動させればシートのコピーになります。
マウス右ドラッグ
右ドラッグしながらのセル移動です。( Ctrl キーは押さない)
オプションが表示されます。挿入(割り込み)メニューもあります。
「Ctrl キーを押しながらドラッグ」「マウス右ドラッグ」
どちらか覚えるなら、右ドラッグでしょう。
最低限のオプションは選択できます。
マウスクリックでメニューを選択すれば、マウスのみの操作でコピペ完了です。
マウスドラッグの弱点
マウスドラッグでのコピーには弱点があります。
コピー元とコピー先が一画面に収まらないほど離れていた場合
途中でマウスを離してしまったらやり直しです。
また他のアプリ・ウィンドウからのコピペの場合、事前にウィンドウを並べておくなどの準備が必要です。
一画面に収まる範囲での方法と思っていた方がいいでしょう。
クリップボードの履歴
基本動作の項で述べたとおり、コピーしたデータはクリップボードと呼ばれるメモリーに保管されます。
このクリップボードを、コピーの履歴として直接見る機能があります。
通常のコピペでは、ペーストされるのは直前にコピーしたデータひとつだけです。
クリップボードを活用すれば、履歴からデータを選択してペーストすることができます。
はじめに必要なデータを複数コピーしておいて、選択しながらペーストする、というような使い方ができます。
オフィスクリップボード
「ホーム」タブ→「クリップボード」の右下の小さい矢印をクリックしてください。
コピーした履歴が表示されます。「オフィスクリップボード」という機能です。この中からデータを選択してペーストすることができます。
他のオフィスアプリや、ブラウザ上でコピーしたネット上のデータ (文章) なども表示されます。
Windows標準クリップボード
Windows標準のクリップボードも利用可能です。2018年アップデートのWindows10以降の標準機能です。
ショートカットキーは
Windows キー + V
- 画像も表示される
- ピン留めもできる
- ショートカットキーが使える
- エクセル以外でも使える
以上の点においてこちらの方が使い勝手がいいです。
まとめ
さまざまなコピペ方法を検証してみました。
ひとつだけ覚えるならやはり王道の Ctrl + C と Ctrl + V でしょう。あらゆるシチュエーションで汎用性が高いです。
オプションもできればショートカットキーで。
※2023/8月のバージョンアップで Ctrl + Shift + V で「値のみのペースト」というショートカットが追加されました。しかしこれは Microsoft 365 のみに限定された機能のようです。
いま挙げたキーはすべてキーボードの下の方にあります。ブラインドタッチに慣れていない人にもやりやすいです。
そして「書式は同じでいい」と思ったらまよわず Enter キーです。オプションは必要ないのに Esc キーで解除しなきゃいけないって、地味にストレスですよね。